ラトビアでの言語教育を振り返る|クワドリンガルが教える思考力重視の英語学習法

4 views
約7分
記事

今、英語を効率的に学びたいと考えている方は多いのではないでしょうか。しかし、多くの人が「英語学習に挫折した」という経験を持っています。なぜでしょうか?それは学習方法に問題があるからかもしれません。

私はラトビアで育ち、小学校1年生から英語教育を受けてきました。この経験を通して、「暗記」ではなく「思考力」を重視した英語学習法の効果を実感しています。今回は、私自身の経験から得た、効率的で挫折しない英語学習法をご紹介します。

英語が上達する最も効果的な方法は「思考」と「アウトプット」を重視すること

私がラトビアで受けた英語教育は、日本の教育とは大きく異なっていました。小学校1年生から週に4〜5回、英語に触れる機会があり、幼い頃から英語の思考回路が身についたと感じています。

最も特徴的だったのは、暗記よりも思考と表現を重視するアプローチです。文法規則を丸暗記するのではなく、実例から規則性を見つけ出し、それを応用する力を養いました。また、読む・書く・聞く・話すの四技能をバランスよく教えられ、各スキルに25%ずつ重点が置かれていました。

例えば、高校時代の先生は文法を直接教えるのではなく、「I have a hard time studying math.」と「I am having a hard time studying for this exam.」のような例文を示し、なぜ使い方が異なるのか自分で分析させる方法をとっていました。これにより、単なる暗記ではなく、言語を論理的に理解する力が身につきました。

また、小学校の時からディスカッションやプレゼンテーションの機会が豊富にあり、積極的に発言することが促されました。中学校では英語で日記を書く宿題があり、自分の考えを伝える練習ができました。先生からの返事ももらえるので、英語でのコミュニケーションを実感できたのです。

テストの内容も暗記力ではなく応用力を試すものでした。教科書で「She made cookies for her sister.」と学んだ文が、テストでは「He baked a cake for his mother.」といった形で出題されるため、単に覚えるだけでは対応できませんでした。

この教育方法の結果、私は英語を「知識」ではなく「使える道具」として身につけることができました。

なぜ「思考力」と「アウトプット」が重要なのか

私の体験は個人的なものですが、実は現代の言語習得研究でも「思考」と「アウトプット」の重要性が裏付けられています。

1. 「暗記」より「理解」の方が定着率が高い

アメリカの国立訓練研究所(National Training Laboratories)が発表した「ラーニングピラミッド」によると、学習した内容の平均定着率は以下のようになっています:

  • 講義を聞くだけ:5%
  • 読むだけ:10%
  • 視聴覚教材:20%
  • デモンストレーションを見る:30%
  • グループディスカッション:50%
  • 実践する:75%
  • 他者に教える:90%

このデータからわかるように、単に暗記するより、実際に使ったり教えたりする方が遥かに定着率が高いのです。私がラトビアで経験した「自ら考え、表現する」学習法は、このピラミッドの上位部分(高定着率)に当たります。

2. 言語習得には「理解可能なアウトプット」が必要

第二言語習得の研究者メリル・スウェイン(Merrill Swain)は「理解可能なアウトプット仮説」を提唱しています。この理論によると、言語を習得するには、ただ聞いたり読んだりするだけでなく、自分で言語を使って表現する機会が不可欠です。

アウトプットには3つの重要な機能があります:

  • 気づきの機能:自分の言語知識のギャップを認識する
  • 仮説検証の機能:自分の言語使用が正しいかを試す
  • メタ言語的機能:言語について考え、分析する

これはまさに私がラトビアで経験した、言語を分析し、実際に使用する学習アプローチと一致しています。

3. 創造的思考が言語習得を促進する

言語学習において創造的思考を促すと、学習効果が高まることが研究で示されています。2019年の言語学習に関する研究では、創造的な活動を取り入れた学習グループは、従来の暗記中心のグループに比べて、語彙の定着率が30%以上高かったという結果が出ています。

ラトビアの英語教育で、小説や映画を分析したり、深いテーマについて意見を述べたりする活動が多かったのは、この創造的思考の効果を引き出すものだったと言えるでしょう。

ラトビアの英語教育から学ぶ効果的な学習法

私の経験から、効果的な英語学習には以下の要素が重要だと考えています。

四技能をバランスよく学ぶ

ラトビアの英語教育では、読む・書く・聞く・話すの四技能をバランスよく学びます。各スキルに25%ずつ時間を割り当て、どれかに偏ることなく総合的な英語力を育てます。

これは日本の英語教育と大きく異なる点です。日本では読解と文法に重点が置かれ、話す・聞くスキルの練習が不足しがちです。四技能をバランスよく学ぶことで、実際にコミュニケーションで使える英語力が身につきます。

小さい頃から発言を促す教育スタイル

ラトビアでは、小学校の時からディスカッションやプレゼンテーションの機会が豊富にあります。先生は「答えがわかる人?」と積極的に発言を促します。このような環境で育つと、英語で自分の考えを表現することへの抵抗感が少なくなります。

応用力を重視したテスト

ラトビアの英語のテストは、教科書の内容をそのまま暗記しているかを問うものではありません。例えば、教科書で「She made cookies for her sister.」と学んだ文が、テストでは「He baked a cake for his mother.」という形で出題されます。

このように、学んだ文法や語彙を別の文脈で使えるかどうかを試されるため、単なる暗記ではなく、真の理解と応用力が求められます。

教科書以外の多様な教材

ラトビアの英語教育では、教科書だけでなく、小説、映画、新聞記事など多様な教材が使われます。実際に使われている「生きた英語」に触れることで、教科書だけでは学べない表現や文化的背景も学ぶことができます。

思考力重視の英語学習の実践方法については、次回の記事で詳しくご紹介します

ここまで、ラトビアでの英語教育の特徴と、なぜ「思考力」と「アウトプット」を重視した学習が効果的なのかをご紹介しました。次回は、これらの知見を活かした具体的な学習方法や、日本での実践方法についてお伝えします。文法の学び方、日記の書き方、ディスカッションの練習法など、実践的なアドバイスをお楽しみに。

まとめ:思考力重視の英語学習が成功の鍵

日本の英語教育では、文法や語彙の知識を重視する傾向がありますが、実際のコミュニケーションでは、その知識を使いこなす力が必要です。「わかるけど話せない」という状態から抜け出すには、アウトプットを重視した学習が不可欠です。

ラトビアの英語教育から学んだ7つのポイントを最後に紹介します:

  1. 四技能をバランスよく学ぶ:読む・書く・聞く・話す、どれかに偏らないようにしましょう。
  2. アウトプット中心の学習:インプットはアウトプットのために必要な範囲で行い、学んだことを実際に使う練習を重視しましょう。
  3. 消化できる量を確実に:大量のインプットよりも、確実に自分のものにする質を重視しましょう。
  4. 論理的思考と創造性を育てる:暗記ではなく、言語を分析する力と創造的に使う力を養いましょう。
  5. 自己表現の機会を増やす:意見を言う、感想を述べるなど、自分の考えを英語で表現する機会を意識的に作りましょう。
  6. 実践志向の学習:テストのための学習ではなく、実際に使えるようになることを目指しましょう。
  7. 適量で効果的な宿題:量よりも質を重視し、英語が実際に使えるようになる内容に取り組みましょう。

英語学習は長い旅です。短期間で劇的な結果を期待するのではなく、日々の小さな積み重ねを大切にしてください。そして何より、英語を学ぶ楽しさを見つけることが、継続の秘訣です。

ラトビアの言語教育から学んだ「思考力」を重視した英語学習法が、皆さんの英語学習の一助となれば幸いです。英語は単なる科目ではなく、世界とつながるためのツールです。自分の考えを伝え、他者の考えを理解するために、英語を楽しく学んでいきましょう。

公式LINEアカウント

Leave A Reply

*
*
* (公開されません)

Share / Subscribe
Facebook Likes
Posts
Hatena Bookmarks
Pinterest
Pocket
Evernote
Feedly
Send to LINE